• テキストサイズ

罪と罰【終わりのセラフ】

第20章 力の制御




確かに吸血鬼ではあるが、吸血鬼と言っても私達は裏切り者の吸血鬼。
状況的に吸血鬼は敵になるはずだ。


クローリー
「うーん?」


お兄ちゃんも意味が分からないようで、首を捻った。
では誰なのか、その続きを話すであろうフェリドを見る。


「………」

フェリド
「………」


だがフェリドは何も喋らない。
続きを言うように目で訴えても意味が無さそうだ。


「…本当に面倒な吸血鬼」

フェリド
「あは」


悪態をつくと、尚更楽しそうなフェリド。
これは間違いなく復活させない方が平和だった。

彼はなぜ話さないのか。
それは話したくないからでは無く、ただ単に私達の反応を面白がっているからだ。


クローリー
「はぁ…」


このままでは膠着状態が続く。
それを分かっているお兄ちゃんが面倒くさそうに溜め息をついた。


クローリー
「じゃあ誰と戦ってるんだっけ?」

フェリド
「………」


その問いを待っていたと言わんばかりに微笑むフェリド。
彼はどこか遠くを見つめ、呟いた。


フェリド
「…神さ」


彼の様子は真剣。
ふざけている訳でもなさそうだ。


「…神」


この世に神様などいるのか。
もしいたとして、本当に神が敵ならば適う者などいない。

相変わらず言葉が足りないフェリドに考え込むお兄ちゃん。
フェリドがこれ以上は何も話さないと察した私はゆっくり目を閉じた。
/ 646ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp