第20章 力の制御
そんな会話を聞いていると何かが近づいてくる気配を感じた。
その正体に予想はつくが、念の為地面へと視線を落とす。
フェリド
「や」
地面にはフェリドの首があった。
転がって来てお兄ちゃんの足に当たり、止まったらしい。
クローリー
「復活早々楽しそうだねぇ、君は」
「楽しみすぎだと思うけど…」
2人をいじめていたのを思い出すと呆れしか出ないが、拷問をされていた割には元気そうで何よりだ。
クローリー
「今のも避けれたでしょ?」
フェリド
「避けたら楽しくないでしょ」
「………」
やはりこの吸血鬼は狂っている。
修復するとはいえ、もちろん痛みは感じるだろう。
だから普通の吸血鬼は遊びでもしない。
フェリド
「首戻してくれる?」
クローリー
「いいよ」
そう短く答えたお兄ちゃんは首を掴むとフェリドの体へと放った。
いきなりの事だったが、フェリドも動じずに受け止める。
クローリー
「アリス、あれ頂戴」
「ん」
言われた通りローブの内側からフェリドの服を取り出し、お兄ちゃんに渡す。
フェリド
「お、気が利くね」
先程と同じ様に放り投げたお兄ちゃん。
それも難なくキャッチすると、フェリドは早速着替えに取り掛かる。
お兄ちゃんの指示で持って来たのだが、もし持って来なかったら全裸のフェリドと行動しなくてはいけない所だった。