第20章 力の制御
「ありがと…」
温もりを感じない腕の中。
いつも通りの感触に安心した私は、胸元に顔を寄せて目を瞑る。
クローリー
「飲むでしょ?」
「…いい」
クローリー
「足りてるのか?」
「まだ大丈夫」
正直に言うと、とても大丈夫とは言えない。
でもお兄ちゃんも首を落とされているので、血が抜けているはずだ。
そんなお兄ちゃんから血は貰えない。
クローリー
「限界が来たら言えよ」
「ん」
若干納得していない様にも見えるが、折れたのはお兄ちゃんだった。
私が理性を保っている事、そして普通に話せている事から引いてくれたのかもしれない。
深夜
「これは勝ち?」
グレン
「五分…かな」
私達がそんなやり取りをしている間に、深夜が来ていた。
遠戦だったから怪我はないが、キ・ルクを攻撃し続けた事で疲労している。
深夜でこれだけの疲労だ。
未だ降りてこない与一はかなり体力を使っただろう。
グレン
「殺せなかった上に女王を取られたが、変態は助けた」
フェリド
「あは」
変態呼ばわりされている当の本人は笑顔で深夜に手を振っている。
深夜
「変態助けちゃダメじゃん」
それに対し疲れ切っている深夜は苦笑いしかできない。
グレン
「じゃあ負けか」
深夜
「負けたー」
もう済んだ話だからだろうが、余りにも軽い2人。
君月/鳴海
「………」