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罪と罰【終わりのセラフ】

第20章 力の制御




「用って…っ!」


私の問いかけを最後まで聞かずに強く体を引かれる。


キ・ルク
「流石に体力を消耗したんだ。お前から貰うよ」

「…っ」


そう言って彼は躊躇なく首元へ牙を立てた。
チクリと走った痛みに顔が歪む。


キ・ルク
「ん…」

「っ…はぁ…」


血が足りていないキ・ルクは遠慮なく血を吸っていく。
それも凄い勢いでだ。


フェリド
「これはまずいかな」


珍しく声に焦りを滲ませるフェリドも私が傍にいるせいで手を出せないでいる。


「…っ」


そんな膠着状態の中、とうとう体に力が入らなくなってきた。
吸血鬼は血が基準値より抜けて渇き過ぎてしまうと醜い鬼となる。

ここで鬼になると対処が面倒なのはキ・ルクも分かっているはずだが、このままでは本当にまずい。


「も…ダメ…」

キ・ルク
「………」

「…ね…ぇ」

キ・ルク
「ふぅ…分かったよ」


渋々といった様子だったが、彼は口を離してくれた。
用は終わったはずのキ・ルクだが、彼は何故か私の耳元へと顔を寄せる。


キ・ルク
「ゆっくり飲む時間がないから美味しくない吸血鬼の血を少しだけ貰ってすぐに行くつもりだったけどさ。吸血鬼でこんな味は初めてで止まらなかったよ」


私にしか聞こえない様に呟かれた言葉。


「………」


わざわざ私に言う理由が分からずに表情を伺う。
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