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罪と罰【終わりのセラフ】

第20章 力の制御




その視線に耐え切れなくなり、後ずさった瞬間に彼は動いた。


キ・ルク
「やっぱりお前かな」


その直後、キ・ルクが全員の視界から消える。


クローリー
「後ろだ!」

「…!」


彼の行方に気づいたのはお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんの声が聞こえて振り向こうとしたが、その前に背後から風を感じて動きが固まる。


クローリー
「くそっ…」


先程怯えて後ずさったのが仇となった。
キ・ルクの気配にいち早く気づいたお兄ちゃんが私を引き戻そうと手を伸ばしたが、その手は私に届かない。


キ・ルク
「………」

「くっ…」


ローブの胸元を掴まれ、持ち上げられる。
真昼の殺気に当てられていた事もあるが、これだけの実力差だ。

抵抗すらまともにできない。


クローリー
「…油断した」

キ・ルク
「こいつのその反応にこの独特な気配。お前アリスだろ?」

「…!」


お兄ちゃんの反応を見てほくそ笑むキ・ルク。
そして自分の言葉に確信を持つためか、私の顔を顕にした。


「………」

キ・ルク
「当たりだね」


顔を隠していた物がなくなり、私とキ・ルクの視線が絡んだ。
彼の目から思考を読む事はできないが、彼からは敵意を感じられない。


「私の事覚えてたの?」

キ・ルク
「ああ、若いくせに強くて人間みたいな気配だったからね」

「………」
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