第20章 力の制御
フェリド
「でも僕は何もやってないから無実なんです。信じてくださいよ」
キ・ルク
「………」
そう満面の笑みで言われてはキ・ルクでなくても信じないだろう。
キ・ルクも呆れたような表情でフェリドを見ている。
キ・ルク
「…じゃあ次はその無実なお前の計画を暴く役を俺がやろう」
だが一転して態度を変えた。
何が彼の気を変えたのかは分からない。
キ・ルク
「すげー面白そうだ」
面白そうという理由だけでフェリドを見逃していい訳がない。
それを分かっていながらも笑う彼はお兄ちゃんが読んだ通り、考え方がフェリドに似ている。
フェリド
「あなたにできますかねぇ」
キ・ルク
「できるよフェリド。俺はお前より長く生きてる」
フェリド
「は、のうのうと不毛に長く生き長らえているだけでしょう」
キ・ルク
「………」
笑顔で柔らかく話していたキ・ルクだったが、その一言で雰囲気が変わった。
イラついている事が伝わった周りの人間達に緊張が走る。
キ・ルク
「ああ、だからお前と同じ狂気を抱えてる」
そこまで言って彼はフェリドから視線を外した。
その行動からもうフェリドと話をする気がなくなったらしい。
キ・ルク
「………」
この場にいる全員を1人1人順番に見ていく。
そして私で視線を止めた。
「…っ」
深く被ったフード越しに感じる視線。