第20章 力の制御
だが、それは瞬く間に修復されていく。
キ・ルク
「はは、心臓潰されて修復するって吸血鬼かよ」
そう笑いながらキ・ルクは距離を取った。
優ちゃんの傷は修復したが、キ・ルクの傷は鬼呪装備の攻撃なので鬼呪の毒のせいで修復できない。
誰が見ても形勢はこちらが有利。
それでもそれは優ちゃんがこのまま攻撃を続けられるのならの話だ。
キ・ルク
「いやいや、やれるでしょ。なんせ俺はキ・ルク様だぞー」
そう話す彼の表情はまだ笑顔。
キ・ルクはまだ普通に戦える。
優一郎
「はぁ…はぁ…」
だが唯一戦える優ちゃんの息は荒い。
そろそろ暴走のタイムリミットなのだろう。
グレン
「………」
優ちゃんの暴走がない限り私達は全滅だ。
だからこそグレンは考え込んでいた。
でも考えた所で答えが出るはずもない。
クローリー
「ほらこれ!」
そんな状況を変えたのはお兄ちゃんの行動だった。
お兄ちゃんは忘れられていた彼に向かって剣を投げる。
キ・ルク
「今度はなんだ〜?」
そんなキ・ルクの声を聞きながら、全員の視線は剣を受け取った彼へと集まった。
フェリド
「いや〜空が青い。快晴だなぁ」
視線を浴びながらこの状況には似つかわしくない台詞を吐いたのは、先程復活したフェリド・バートリー。
復活したとはいえ、彼の下半身は離れた所に飛ばされて今は上半身しかない。