第20章 力の制御
クローリー
「アリス?」
私の様子に異変を感じ取ったお兄ちゃんだが、この気配は感じれないようだ。
「…真昼がいる」
クローリー
「………」
怯える私にお兄ちゃんは何も言わなかった。
ただ黙って私の様子を見ている。
何故こんなにも禍々しい気配を誰も感じれないのか。
そう恐怖に押し潰されそうになりながらも思った時、たまたま耳に入った彼の声。
キ・ルク
「うわ、また見えない嫌な感じ!」
「…!」
そう叫ぶ彼の視線の先はグレンの前方にあり、私が感じている真昼の気配がある方と同じ位置だった。
人間はもちろんお兄ちゃんやミカは感じ取れないのに、キ・ルクは感じ取る事ができる。
実力の問題なのか、それとも真昼と接点があるのか。
理由は分からない。
キ・ルク
「もう弱い者いじめだよ〜」
そしてその嫌な気配が攻撃をしてきた事でとうとうキ・ルクが本気を出した。
キ・ルク
「よっ」
グレン
「!!」
キ・ルクはグレンを確実に殺す為に心臓を狙う。
その動きは早く、グレンでは躱す事は不可能だ。
誰もがグレンの死を覚悟した時だった。
グレン
「優!!」
キ・ルク
「…!」
グレンの前に割り込んだ優ちゃん。
優ちゃんはグレンの代わりに心臓を握り潰された。
想定外の事にキ・ルクですら驚いている。
優一郎
「がぁ…」
胸に大きく空いた穴。