第20章 力の制御
巻き付いたそれを外す事もできずに彼の腕は折れてしまう。
その光景はキ・ルク本人だけでなく、私達吸血鬼をも驚かせた。
キ・ルク
「何こいつ?」
キ・ルクは動揺してしまい、動きが一瞬鈍る。
それにより隙が生まれた。
その隙を見逃さない優ちゃんは一瞬で間を詰め、キ・ルクの首元へ噛み付く。
優一郎
「っ!!」
キ・ルク
「かはっ」
そして噛みちぎった。
首からは大量の血が溢れ出るのが見える。
君月
「やったか!!」
「だめ、首が落ちてない」
グレン
「くっ!援護だ深夜!!」
だが傷は浅かった。
首を斬り離さない限り吸血鬼は動き続ける。
キ・ルク
「こいつ強いな〜!」
好戦的な態度を見せたキ・ルク。
彼はこの強敵相手でもとても楽しそうだった。
これは援護すべきなのだろうか。
「私達も行く?」
クローリー
「いや、フェリドくんが助かったから僕らは待機」
「…クルルは?」
クローリー
「多分無理だろうから無駄な事はしない」
お兄ちゃんはクルル救出を諦めていた。
それなら私も無理に動く必要はない。
クローリー
「それよりフェリドくんに…」
グレン
「斬り飛ばせ、真昼ノ夜!!」
「…っ!」
お兄ちゃんが何かを言おうとした時、グレンが鬼呪装備の特殊能力を発動した。
その瞬間、得体の知れない恐怖心に包まれる。