第20章 力の制御
優ちゃんに薬が浸透する間キ・ルクを足止めするのは、グレン隊の雪見 時雨(ゆきみ しぐれ)と花依 小百合(はなより さゆり)。
優一郎
「天使をコントロールしきって俺は仲間を守る」
そして優ちゃんに薬が完全に浸透した。
キ・ルク
「また弱い攻撃。陽動ばっか…っ!?」
退屈そうに戦っていたキ・ルクだったが、何かの殺気に気づいて反応を見せる。
優一郎
「ガアァァァァァ!!」
キ・ルク
「…ははっ!」
自分へと向かって来る優ちゃんを見て珍しく声を出して笑ったキ・ルクの顔は、今まで見た中でも1番の笑顔だった。
キ・ルク
「剣よ!!化け物退治だ!!」
まるで子供の様に無邪気な笑顔を浮かべて、彼は優ちゃんの攻撃を受け止める。
「…っ」
優ちゃんの拳をキ・ルクが受け止めた瞬間、衝撃で吹き飛ばされそうな程の風が吹いた。
全員が気になるのはどちらが優勢かだ。
キ・ルク
「やば…」
小さく洩れた声。
油断していたからだろうが、キ・ルクの体が軋む音が聞こえた。
キ・ルク
「!!」
だがそれだけでは終わらない。
キ・ルクへ理性を失った優ちゃんの容赦ない攻撃が続く。
優一郎
「ガアァァ!!」
キ・ルク
「!」
優ちゃんの口から何かが飛び出して、キ・ルクの腕に巻き付いた。
キ・ルク
「うっそ…」
「…折れた」