第20章 力の制御
お兄ちゃんの言葉の意味を理解できたのは私だけだ。
ミカはまだそういう吸血鬼にはあまり出会っていないのだろう。
「楽しいって感情を持っている吸血鬼は珍しいの」
グレン
「ほう…」
本当に簡単な説明だが、グレンはすぐに理解した。
クローリー
「で、そこが少しフェリドくんに似ているんだ」
グレン
「つまり頭が切れる…か?」
クローリー
「狂気と冷静さが混雑してる。きっと楽しそうに気づくよ」
あの時のキ・ルク思い浮かべる。
実際に彼と話した私には、お兄ちゃんの言う通りの結果が容易に想像できた。
クローリー
「おまけにフェリドくんより彼は上位だ」
五士
「うへぇ…関わりたくねぇ〜」
深夜
「でもやるしかないと、君と関わってるといっつもこんなのばっかだなぁ」
フェリドと同じ様な性格に実力まで付いてくる。
その事実に五士が頭を抱えた。
深夜
「じゃあクルルを救えば勝利、次点でフェリドを救えば勝利か」
グレン
「そうキ・ルクに思わせれば勝ちだ。頭が良ければ奴はそれに対応してくる」
キ・ルクの頭の良さは分からない。
でもフェリドに似ているのなら確実にここにいる誰よりも良いだろう。
グレン
「だが俺達には相手が想定していない切り札がある。その為にこの3日修行してきたんだからな」
優一郎
「………」
グレンの発言で、優ちゃんに視線が集まる。