第20章 力の制御
グレン
「深夜と与一が紫外線防止リングを撃ち込んで、2匹の吸血鬼を解放させる」
ミカ
「2匹…」
小さな声で繰り返すミカ。
グレンの吸血鬼を何匹と呼ぶ所に引っかかったみたいだが、私達吸血鬼以外には聞こえなかった様だ。
グレン
「フェリドが復活すれば戦力に、クルルが復活すれば確実にキ・ルクに勝てる」
「じゃあクルル・ツェぺシが優先」
グレン
「ああ、救えるならまず彼女を救うべきだ」
つまりフェリドは二の次。
あの女王様を先に救出しなくてはいけない。
でもキ・ルクは間違いなくフェリドを捨ててクルルを守ると予想できる。
グレン
「まあ奴が他の吸血鬼の様に人間を侮るバカなら、簡単な作戦でいけるはずだ」
「………」
強さに驕ったプライドが高いだけの吸血鬼ならそうだろう。
でも彼はそのタイプの吸血鬼ではない。
クローリー
「残念だけどバレるよ。彼は頭がいい」
お兄ちゃんも私と同じ意見だった。
でもお兄ちゃんはキ・ルクとはあまり面識がなかったはずだ。
グレン
「知り合いじゃないんだろ?何故分かる?」
クローリー
「遠くから見た事があるが…」
それをグレンも疑問に思ったらしい。
クローリー
「彼は常に少しだけ楽しそうにしていた」
「!」
その情報には私も驚いた。
グレン
「…それが?」
だが、人間にはこの意味が分からない。