第20章 力の制御
この状況に合わない言葉に耳を疑い、念の為確認する。
深夜
「うん、そうだね」
グレン
「まぁもう少し笑った方がいいのは確かだな」
「………」
彼らは好き勝手に色々言っているが、私が感情が薄れた吸血鬼だという事を忘れていないだろうか。
そもそも表情豊かな吸血鬼はフェリドなどの頭がおかしい奴ばかりだ。
鳴海
「中佐、もういいでしょう」
この脱線した作戦会議を元のレールへと戻そうとしたのは鳴海。
3人の興味は私から彼に移った。
鳴海
「早く作戦の最終シミュレーションを」
グレン
「だが想定外にキ・ルクが燃えた」
からかわれ始めた鳴海はまともに話さないグレンを必死に説得する。
この隙に私は彼らから距離を取った。
鳴海
「中佐!こんなくだらない遊びをしてる場合じゃ…」
クローリー
「もう1個あるよ〜」
鳴海
「………」
だがその説得を簡単に遮られてしまい、心が折れてしまったようだ。
何を持ってきたのかとお兄ちゃんの手元を見ると、そこには先程私が落とした人形。
クローリー
「これをキ・ルクにしよう」
お兄ちゃんはグレンへと人形を投げた。
それをしっかりと受け取ったグレン。
グレン
「よし、じゃあお前らこいつがキ・ルクだ」
「今度は猫…」
彼の手には眠そうな顔をした猫の人形がいる。
今度はこれがキ・ルクの代わりだ。