第20章 力の制御
優一郎
「なんだそれ?」
グレンの元へ近づくと優ちゃんが私が持つ人形を見て首を傾げた。
でも理由を知らない私には答える事ができない。
「人形」
優一郎
「いや、それは見て分かる」
優ちゃんが求める答えとは違うというのは分かっている。
でもそう答えて、グレンの前へ行く。
「これでいい?」
グレン
「助かる」
私から人形を受け取ったグレンは、2つの人形を木の棒に括り付けた。
そして他の人形はバラバラな位置に置く。
どうやら彼は人形を私達に例えて説明するようだ。
「それでたくさん人形を持ってこいって言った訳か」
グレン
「そうだ。人形を使って第五位始祖キ・ルク攻略計画の最終確認をする」
グレンは私が思わず呟いた一言に頷いて、マッチを擦る。
グレン
「五士、オイル」
五士
「ほいー」
呼ばれた五士 典人(ごし のりと)が動じていない辺り、これが日本帝鬼軍では普通なのかもしれない。
オイルで濡れた人形に火をつけると日光拷問を受けている人形の図が完成した。
「………」
わざわざ火をつけてまで日光拷問を再現する必要はあるのだろうか。
ここまでする必要を感じられない。
深夜
「いや、この無駄な再現度いる?」
やはり同じ事を思っている人がいた。
つまりこれは日本帝鬼軍のやり方ではなく、ただグレンがやっているだけらしい。