第20章 力の制御
クローリー
「こんな人形、何に使うんだか…」
「…本当にそうだね」
グレンの意図が分からないまま、お兄ちゃんと話しながら彼らの元へと向かう。
その途中に1体だけ手から人形が落ちてしまった。
「あ」
クローリー
「はは、やっぱりアリスじゃ持ちきれなかったな」
床に落ちた1体の人形。
私の手では10体以上も持つのは無理だったらしい。
「…もう少し大きかったら持てたのに」
笑いながら人形を拾うお兄ちゃん。
その姿を見て申し訳なく思いながらも、その体の大きさを羨ましく思う。
クローリー
「残念だけど血を飲んだからこれ以上は成長しないね」
「…そうだよね」
吸血鬼化した人間は、人間の血を飲むと完全な吸血鬼になってしまう。
今まで私の身長が伸びていたのは血を飲んでいなかったからだ。
この前深夜の血を飲んだからもう身長が伸びる事は期待できない。
「私も吸血鬼に近づいていってるんだ…」
クローリー
「………」
私の呟きにお兄ちゃんは何も言わなかった。
こんな風に言うのは初めてだから戸惑ったのだろうか。
ポツリと盛れた言葉に自分でも戸惑ったのでその可能性はある。
私がこんな事を思ってしまうのは人間である彼らと過ごしているからなのかもしれない。
「………」
それから私達は何も話さずに黙って外へ出た。
屋敷から出てきた私達に視線が集まる。