第20章 力の制御
グレン
「だから戦術を使う。優を切り札に陣形を組んでなんとかする」
深夜
「だからいったい誰を?」
説明を求めているのに誰も答えない。
それに焦れたのか、少しイライラしている深夜。
グレン
「…第五位始祖を」
その様子に気づいたグレンがようやく質問に答えた。
深夜
「…!」
グレンの返答に深夜は何を思ったのだろうか。
目を見開いた彼の気持ちは私には想像もできなかった。
*****
あれから3日経った。
修行はなんとか終了し、今から作戦会議が始まるらしい。
そのために人間達は玄関先の庭に集まっているのだが、私は屋敷の自室にいた。
グレンに頼まれた物を探しに来ていたのだ。
「あ、やっぱりあった」
私が手にしたのは、ベッド脇に置かれていた人形の山。
それを部屋の前で待っていたお兄ちゃんへと見せる。
「これでいいかな?」
クローリー
「多分いいよ」
そう言いながら私の両手いっぱいに抱えた人形を受け取ろうとお兄ちゃんが手を伸す。
「私が持つよ」
クローリー
「いいけど…落とさないでよ」
「うん」
それを拒否したのは理由がある。
私は結局最後まで修行に参加しなかったが、お兄ちゃんは3日間ずっと参加していた。
いくら体力が回復するとはいえ、あの化け物相手に戦うのは精神的に疲労している。
だから無理をさせまいと断った。