第20章 力の制御
そんな事を考えていると、優ちゃんが私達に気づいた。
それを待っていたとばかりにお兄ちゃんが壁から体を
離して彼らへと1歩前に出る。
クローリー
「僕、修行に付き合えってフェリドくんに言われてるけど」
グレン
「ああ」
あっさり頷いたのでグレンもフェリドから聞いていたのだろう。
でも今更何の修行をするのか。
「何の修行?」
グレン
「優に薬を打って暴走させる。コントロールできなきゃ四肢斬り落として止める」
「………」
それを聞いて優ちゃんの方を見る。
私は優ちゃんの暴走の力を知らない。
でもキ・ルクに対抗するために必要な力という事はかなり強くなるのだと予想できる。
グレン
「暴走、止める。暴走、止める。優が制御できるまでその繰り返しだ」
「制御できるまで…」
吸血鬼に対抗できる存在と戦うだけで辛いのに、それを何度も繰り返さなくてはいけない。
グレンはお兄ちゃんだけでなく、私にも協力をさせるつもりだろう。
「………」
クローリー
「アリスは屋敷で待機」
「!」
治癒が完全に終わっていない今の私は戦力にならないし、戦えても2回が限界だ。
お兄ちゃんもそんな状態に気づいていたらしく、私やグレンが何かを言う前に指示を出した。
グレン
「…何故だ?」
クローリー
「アリスは負傷している。この状態で戦わせる事はできない」