第20章 力の制御
あの時とは深夜が言っていた昔会ったという話だろうか。
私は何も覚えていないので眉を寄せて聞き返す。
グレン
「知らない方がお前はいいと思うから俺は何も話す気はない」
「………」
グレン
「だがあの時は本当に悪かったと思ってる」
話が全く読めないが、グレンは私に謝罪しなくてはいけない立場だという事だけは分かった。
真昼という名前以外、心当たりがない昔の記憶。
「そんな事言われても何も覚えてないから意味ないよ」
グレン
「本当に何もか?」
「そう、あなたも深夜も知らない」
グレン
「…そうか」
それっきりグレンは黙ってしまった。
ここには深夜の様子を見に来たのだ。
その目的はもう果たした。
「………」
グレンには聞きたい事が色々あるが、多分何も教えてくれないだろう。
そう思い、物思いにふけるグレンを置いて部屋を出た。
*****
(ミカside)
アリスに頼まれたので仕方なく人間を部屋まで運んだ。
ミカ
「はぁ…」
部屋を出た僕は思わず深い溜め息をついてしまう。
優ちゃんにも言い負かされてしまったしこれからどうなるのか。
考えただけで痛くなってきた頭を押さえていると、一瀬 グレンが入ったはずの部屋からアリスが出て来た。
ミカ
「…!」
アリスは僕に気づかずに反対方向へと去って行く。