第20章 力の制御
優ちゃんを部屋に残して廊下を歩きながら思わず文句を言ってしまうが、それも仕方ないだろう。
あの後、グレンは何人かを連れて玄関に向かった。
呼ばれたので着いて行くと、そこにいたのは気絶している5人の人間。
グレンは自分がみんなを気絶させたと説明したが、それ以上は何も言わない。
なのでとりあえず屋敷の中に運んだのだった。
案内するついでに1人1人の様子を見たが、全員気絶しているだけなので本当に意味が分からない。
「開けるよ」
まだ様子を確認できていない深夜が運ばれた部屋に声をかけて入る。
部屋の中には深夜を運んだグレンがベットの傍に立っていた。
「深夜も怪我はしてない?」
グレン
「ああ」
グレンに聞きながらも自身で確認すると、深夜も気絶しているだけに見える。
ただ、首元のある傷が目に入った。
「これ…」
その傷の位置から見て、私が牙を立てた痕。
かなり日が経ったのにまだ残る傷が酷く痛々しい。
「…ごめん、痛かったよね」
あの時は仕方なかったとはいえ流石に罪悪感を感じてしまった。
聞こえていないと分かっているのに思わず謝ってしまう。
グレン
「やっぱりお前が助けたんだな」
「………」
これは下手に認める事ができない。
だから私は何も言わない事を選んだ。
グレン
「深夜から聞いてる。お前があの時のガキだって事も」
「…あの時?」