第20章 力の制御
言われて気づいたが、確かにそうだ。
しかもあれ程嫌っているのだから尚更無理だろう。
ミカ
「それで?何も説明しないお前はここからどう進めるつもりだ」
ただこれからについて聞くだけでこの言い方だ。
これから先、この2人が何度も揉める事が容易に想像できる。
考えただけで頭が痛くなりそうだが、今はグレンの話を聞くべきだ。
グレン
「俺だけじゃ事は進まない。だからフェリド・バートリーとクルル・ツェペシを取り戻す」
グレンは簡単に言ってくれるが、2人を救出するにはキ・ルクを殺さなくてはいけない。
そもそもこのメンバーで彼に勝てるのかという話だが、更に私達にはもう1つの恐怖が待ち受ける。
クローリー
「彼らはいいだろうけど僕らは地獄だな」
「…そうだね」
フェリドはともかく、第三位始祖であるクルル・ツェペシが拷問されているのなら指示をしたのはそれ以上上位の吸血鬼。
そんな拷問の最中に割り込むなんて裏切りでしかない。
つまり私達は全国の吸血鬼を敵に回す事になるのだ。
*****
記憶を頼りにベットがある部屋へと優ちゃんを誘導する。
「ここに寝かせて」
優一郎
「よいしょっと…」
掛け布団を捲って準備をすると、少し重そうにしながらも慎重に女を寝かせた。
これで外に倒れていた人間は全員運べたはずだ。
「外にいるなら早く言えばいいのに…」