第19章 蘇生
信じられない様子だが、今説明している時間はない。
「グレン、そこに真昼がいるの?」
グレン
「………」
グレンは私を見つめて何も言わない。
それなら仕方ない。
「言わないのなら力ずくで口を割る」
グレン
「!」
短剣の柄に手をかけて本気だと示すと、流石のグレンも私の殺気に顔を強ばらせた。
グレンも私がミカより強い事は分かっているはずだ。
戦闘になればグレンに勝ち目はない。
「早く言わないと…っ?」
だから戦闘になる前に口を割らせようと更に問い詰めた時だった。
私の体に突然異変が起きる。
「くっ…」
何かが体に重く纒わり付く感覚。
それは酷く息苦しく、とてつもない不快感だった。
この感覚が先程の嫌な気配に似ている事からグレンを睨みつける。
「………」
グレン
「はぁ…」
私の視線を受けたグレンはため息を1つ。
やはりこの現象はグレンの鬼呪装備の力だと判断した時、私の耳に信じられないものが聞こえてきた。
?
「ふふっ」
鈴のように軽やかな女の笑い声。
シノアや三葉の声とは全く違うこの声に私は何故か聞き覚えがあった。
でもどこで聞いたかは思い出せない。
「…っ」
優一郎
「アリス!」
更には自分の体を支えれなくなり、ふらついた私を優ちゃんが駆け寄って支える。
まるでこの嫌な気配に力を吸い取られていく様だった。