第19章 蘇生
グレン
「柊の血に生まれて足掻いて、それぞれが今自分にできる正しいと思えた道を行く」
グレンは真昼や他の柊の人間を思い浮かべているのだろうか。
誰もいないシノアの横辺りを見つめながら話している。
そんなグレンの視線を追った時だった。
「…っ」
クローリー
「どうかした?」
グレンの視線の先を見た私の体が警報を鳴らしたのだ。
シノアの横には間違い無く何かがいる。
「…何も感じない?」
クローリー
「………」
私の問いを聞き、お兄ちゃんは気配を探ろうと目を閉じた。
集中して探っていたが、目を開いたお兄ちゃんは首を振る。
クローリー
「僕は何も感じない」
「…そっか」
クローリー
「何かいる?」
「多分、気のせいかもしれないけど…」
この気配は以前、グレンから感じた嫌な物だ。
だが今はグレンからその嫌な気配はしない。
もしかするとあの時は何かが取り憑いていたのかもしれない。
そんな想像をした時にグレンが信じられない事を話し出した。
グレン
「お前は狂った実験で鬼と生まれた。その生まれた時から植え込まれてた鬼はなんと言ってる?」
シノア
「………」
グレン
「四鎌童子はお前に何を囁く?」
シノアは反論しない。
つまり鬼を植え込まれたのは事実となる。
柊とは、人間とは本当に恐ろしい組織だと改めて思い知らされた。