第19章 蘇生
そこで動揺を隠さずに話し始めた君月。
彼は他の人間と違ってグレンが来た事に安心はしていなかった。
グレン
「お前の妹は大丈夫だ。まだ生きてる」
君月
「あっ…」
君月に言われなくても聞きたい事が分かっていたのだろう。
すぐに何かをされているらしい妹の無事を教えると、君月の目から涙が溢れ出た。
与一
「良かったね、君月くん」
君月
「…うっ」
涙が止まらない君月に与一が寄り添う。
背中をさすられた君月は照れ隠しで乱暴に目を拭っていた。
君月
「でも中佐!妹は実験に…」
グレン
「そうだな」
そして更に訴える君月にグレンは落ち着いて答える。
グレン
「でも俺じゃまだ止められない…。お前にもだ」
君月
「誰が妹を利用しているんですか?」
グレン
「………」
君月
「柊家?柊暮人か?」
なかなか答えないグレンに焦れた君月は予想がつく人物を挙げていく。
その内の暮人という名前にグレンは反応した。
グレン
「暮人が指揮は執っている」
君月
「じゃあ…」
グレン
「だが、暮人にも止められない」
つまり暮人という人間は黒幕ではないという事になる。
その事実には君月ではなく、シノアの顔が強ばった。
柊 暮人という名前からするとシノアの兄なのかもしれない。
君月
「じゃあ誰が黒幕なんだ」
シノア
「………」
グレン
「ふぅ…」