第19章 蘇生
私の声はシノアと被って、物思いに耽るお兄ちゃんには届かない。
「………」
別に急ぐ事でもないので大人しく再度資料に目を落とす。
シノア
「あなたも生き返らせたい?」
クローリー
「吸血鬼にはもうその欲望はないよ」
シノア
「そう、なんですか…」
クローリー
「ああ、だから終わりのセラフを管理できる」
聞き耳を立てるつもりは無いのだが、聞こえてくる話に耳を傾けつつ資料のページを捲る。
シノア
「その優さんの中の終わりのセラフをコントロールする方法はここにあるんですか?」
クローリー
「………」
ここで突然話が途切れた。
気にはなったが、顔を上げずに読めない資料を眺め続ける。
シノア
「帝鬼軍の紋章…!」
「…?」
気がつくと、目の前にシノアが立っていた。
彼女は私が手に取る資料の表紙を見て固まっている。
シノア
「こんな難しい研究資料、解読するだけでも相当時間が…」
クローリー
「なんか助っ人が来るらしいよ」
どうやら終わりのセラフに関しての資料らしいが、柊の名を持つ人間でさえ読めない内容。
これを読める人間はかなり限られてくるのではないだろうか。
クローリー
「君らの仲間だって」
シノア
「仲間?私達には仲間なんて…」
心当たりが無いのか、シノアが考え込んでしまったその時だった。
「…!」
クローリー
「ん?」