第19章 蘇生
少しの間扉を見つめて警戒していたが、そう呟くと私の手を解放した。
その行動に首を傾げると、お兄ちゃんは口角を上げて扉を指差す。
クローリー
「これ、吸血鬼が開けるとトラップが発動する仕組みになってるんだ」
「!」
優一郎
「な…!アリス離れろ!」
君月
「いや、何も起こらないぞ」
そういう事はもう少し早く教えて欲しかった。
それと同時にお兄ちゃんの怪我はこれが原因だと気づいて扉を見つめるが、何も起きない。
クローリー
「本当にお前は不思議な存在だよ」
「…自分でもそう思う」
私の頭を撫でながら何だか楽しそうなお兄ちゃん。
久しぶりの感触に思わずリラックスしてしまう。
私にとって家族とはお兄ちゃんの様な存在の事かもしれない。
「じゃあ開けるね」
トラップが発動しないので、そのまま扉を開けた。
入った後はお兄ちゃんを先頭にして先へと進んで行く。
しばらく無駄口を叩く事なく着いていくと、開けた場所に出た。
「………」
そこにはカプセルのような機械がたくさん設置されている。
思ったよりも多くあるカプセルの1つ1つに死体が入っていた。
クローリー
「…!」
カプセルの中を覗き込んで確認していく人間達を見ていると、お兄ちゃんが何かに気づいて奥へと行ってしまう。
それに着いて行こうとした時、視界の端で優ちゃんが立ち止まったのが見えた。