第19章 蘇生
優一郎
「俺は悪魔でも化け物でもいい」
馬鹿にしているお兄ちゃんだが、優ちゃんは気にしない。
優一郎
「家族を守れれば。俺なんかを受け入れてくれた家族を…」
優ちゃんがよく言っていた家族という言葉。
その中に入るのは地下都市で共に頑張ってきた私達だ。
優一郎
「ここにいるのが俺の家族だ」
「!」
そう言って1人1人の顔を見る優ちゃん。
その瞬間、私の感情が急激に冷めていくのを感じた。
何故なら優ちゃんにとっての家族は簡単に言えば仲間。
「………」
昔から家族と言われても受け入れられなかったが内心は嬉しかった。
でもその家族という言葉に特別な意味はなかったのだ。
クローリー
「じゃあその家族に会いに行こうか」
お兄ちゃんの案内で地下へと向かう。
優ちゃんにとっての家族を意識した事で、私の心から何か大切な物が1粒こぼれ落ちた気がした。
*****
クローリー
「ここだ」
優一郎
「すげー」
案内された先にあったのは地下への入口。
でもお兄ちゃんはその入口を前にして動かない。
「早く行こ」
クローリー
「あ、ちょっと待…」
「え?」
何故なのか分からず、焦れた私が開けようと手をかけた時に手を掴まれた。
だが一足遅く扉は少しだけ開いている。
クローリー
「………」
「…?」
クローリー
「発動しない…か」