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罪と罰【終わりのセラフ】

第19章 蘇生




優ちゃんの考え方は人間らしい。
吸血鬼となったミカとは共感できないのだ。


「…ミカ、フェリドが考えた通りに優ちゃんは動き出した。もう遅いよ」

ミカ
「でも、僕は優ちゃんを救いたいんだ」


ミカも私の言いたい事が分かるのだろう。
フェリドが人類の蘇生を予測したのなら優ちゃんはその通りにこれから動いてしまう。

でもそうなる前に止めて救いたい。
その為に必死になってミカは優ちゃんに訴える。


優一郎
「俺もだ。俺もお前を救いたい」

ミカ
「…っ」


でもミカと優ちゃんの話は平行線。
お互いがお互いを救いたがっているからこそ、話が纏まらない。


優一郎
「世界を売り渡しても俺はお前を人間に戻す」

ミカ
「…優ちゃん」


ここまで言われてはミカはもう何も言えなかった。
そんなミカを見て優ちゃんは私へと笑いかける。


優一郎
「勿論アリスもだ」

「私は別に…」


私の為に言ってくれているのは分かるが、今更世界を犠牲にしてまで戻りたいとは思わない。
そんな事をしてしまったら4年前の地獄を繰り返すだけだ。

それは絶対に避けなくてはいけない。


優一郎
「茜も子供達も鳴海の家族も君月の妹も取り戻す」

クローリー
「で、エゴで世界を滅ぼすって?」

優一郎
「…!」


不意に聞こえたお兄ちゃんの嘲笑う声。


クローリー
「凄い欲望、まるで悪魔だなぁ」
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