第19章 蘇生
それを覚悟して身構える全員の視線が優ちゃんに集まった。
優一郎
「………」
与一
「………」
優ちゃんが落ち着いたのを確認して、与一が恐る恐る目の前にケースを置く。
それを見て優ちゃんは何も言わずに茜の首へと近付いて行った。
優一郎
「…ごめん、茜」
ケースを持ち、額を押し付けると絞り出すような声で謝る。
この様子なら暴走する事は無いだろう。
優一郎
「必ず生き返らせるから」
茜に償うかの様に約束をする優ちゃん。
だが、人間が生き返る事などありえない。
「それはダメ」
優一郎
「………」
「もし生き返ってもそれはもう人間じゃない」
人間が生き返るなど世の理に反する。
それは絶対にあってはならない事だ。
ミカ
「そうだよ。仮に生き返ったとしてもより悪い事が起きる」
優一郎
「…ミカ」
ミカ
「空港でグレンとかいう男の顔を見たろ?フェリドの話が本当なら奴のせいで世界は滅亡…」
優一郎
「俺は世界なんてどうでもいい」
ミカの言葉の意味は分からないし、続きが気になる。
でもそれよりも意識を持っていかれたのは感情が篭ってない優ちゃんの言葉だ。
ミカ
「…!」
優一郎
「だからグレンの気持ちは分かる」
ミカ
「泥沼だ…。これじゃフェリドの思う壺だ」
相変わらず忠告を受け入れない優ちゃんだが、こればかりは仕方ない気がする。