第19章 蘇生
そう言い終わった瞬間、本当に僅かだがお兄ちゃんから殺気が溢れた。
何をする気なのか身構える私を後ろ手に静止し、お兄ちゃんは剣に手を掛ける。
クローリー
「もしここで暴走しそうなら…」
優一郎
「…!!」
クローリー
「四肢を斬り飛ばして止める」
お兄ちゃんが本気だという事はこの場にいる全員が分かっているはずだ。
優一郎
「…ごめん、鳴海」
鳴海
「………」
優一郎
「俺、家族に会いたいんだ」
家族と言っても今から会うのは死体。
それを分かっていても、優ちゃんは笑顔だった。
ミカ
「………」
ミカが複雑な顔をしている事にも優ちゃんは気づかない。
優一郎
「だから俺が暴走したら止めてくれ」
鳴海
「暴走すんなよ」
ここまで来ると優ちゃんはもう止められない。
鳴海も諦めた様に笑っていた。
鳴海
「それと別に謝らなくていい」
優一郎
「…え」
鳴海
「気持ちは分かる」
優一郎
「…!」
これで2人の揉め事も収まったと言っていいだろう。
話が終わったのを察した与一が、優ちゃんに見えないように置いていた茜の首が入ったケースに手を掛けた。
与一
「優くん」
優一郎
「あー、ちょっと待って」
優ちゃんは与一の行動を静止すると、胸に手を当てて落ち着こうとしている。
今から暴走するかもしれない。