第19章 蘇生
でも俯いている優ちゃんとは視線が交わらない。
優一郎
「…茜は俺が持つ」
与一
「…優くん」
シノア
「優さん、それは…」
危険な提案に戸惑う与一と諌めるシノア。
この反応、優ちゃんは茜の首を見て既に暴走したのだろう。
優一郎
「…考え無しな訳じゃない」
そんな2人を安心させる様に少しだけ笑みを見せた優ちゃん。
でもその笑みは強ばっていた。
つまりこれは賭けだ。
茜の首を壊す危険がまだある事をその表情が物語っている。
優一郎
「フェリドに打たれた薬が効いている。もう鬼は騒いでない」
自分に、そしてみんなへと言い聞かせる様に必死に訴える優ちゃん。
鳴海
「そうやって何回…」
それを鳴海が拳を震わせながら止めた。
鳴海
「何回君のエゴで仲間を危機に晒した?」
優一郎
「………」
逃げる事を許さない厳しい質問。
それに優ちゃんは何も言えず、黙ってしまった。
クローリー
「いや、いいよ」
そこへ割って入ったのはお兄ちゃん。
何の話かとみんなの視線が集まると、お兄ちゃんは優ちゃんを顎で指した。
クローリー
「どうせ彼は下に降りなきゃいけない」
淡々と告げながらお兄ちゃんは優ちゃんの目の前に行き、冷たい目で見下ろす。
クローリー
「第五位始祖を殺すにはどうせ彼の中の力がいる。コントロールの練習だ」
「!」