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罪と罰【終わりのセラフ】

第19章 蘇生




クローリー
「少しはできたかもしれないけど」

「お兄ちゃんが監視役だったから無理だよ」


フェリドはお兄ちゃんをお世話係として傍にいさせたが、それは監視役も兼ねていた。
その人選は凄く正しいし、他の吸血鬼だったら今頃ここにはいないだろう。


優一郎
「いや、ちょっと待て」


そんな昔の事を思い出していると優ちゃんが私の肩を掴んだ。


「優ちゃん…?」



肩に置かれた手から顔へと視線を移すと目に入ったのは怒った様な心配している様な優ちゃんの顔。

今の会話のどこに怒る要素があったのか。
その疑問はすぐに判明した。


優一郎
「行動を制限されていたってどういう事だよ」

「どういう事って?」


優ちゃんが言いたい意味が分からない。
素直に聞き返すと、優ちゃんはミカの方へと顔を向ける。


優一郎
「ミカは吸血鬼になって外に出られたし、かなり自由になったって聞いた。…だよな!」

ミカ
「え…」

優一郎
「だよな!?」

ミカ
「…うん」


あまりの剣幕に戸惑いながらも頷いたミカ。
それを確認してから優ちゃんは視線を私に戻した。


優一郎
「…お前は違ったのか?」

「………」

優一郎
「っ!」


まるで自分の事のように苦しそうな優ちゃんを見て肯定しなくてはいけないのに言葉が出ない。
そんな私に焦れたのか、優ちゃんは怒りの矛先を変えた。
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