第19章 蘇生
優一郎
「おいクローリー!」
クローリー
「怒鳴らなくても聞こえてるよ」
優一郎
「人間の時は仕方なかったのは分かる。でもなんで吸血鬼になってまで自由にならなかったんだよ!」
怒りに身を任せている優ちゃんに対して、お兄ちゃんは普通に返事を返している。
そして優ちゃんの質問にも淡々と説明を始めた。
クローリー
「情報を与えたくなかったからだ」
優一郎
「は?」
クローリー
「あの時のアリスが吸血鬼の弱点について知ったら十中八九フェリドくんや僕を殺していたからだよ」
この話は初めて聞くが、やはり幼かった私の考えなんて2人の吸血鬼にはバレバレだったらしい。
お兄ちゃんの事は殺そう思わなかったけれどフェリドを殺そうとしていたのは事実だ。
優一郎
「だからって自由を与えないのは…!」
「優ちゃん、過去の事を色々言っても何も変わらないし今は時間が惜しい」
シノア
「そうですね。優さんには申し訳ないですが、またにしましょう」
優ちゃんの言葉を遮ったりしたくはないが、今回は本当に時間が無い。
私の意見にシノアが賛同した事で優ちゃんは黙るしかなかった。
「じゃあ暴走について話して」
クローリー
「まず、彼は鬼になりかけてる状態なんだ」
そもそもの前提となる優ちゃんの状態に驚かない訳が無い。
でも余計な口を挟まず、理解した事を示す為に頷いた。