第19章 蘇生
クローリー
「あー、そうだった」
やはり色々あったからか忘れていたらしい。
鳴海
「…他の吸血鬼と違ってそいつは何も知らないんだな」
そんなお兄ちゃんに対しては何も思わないが、鳴海の言葉には引っかかった。
それはお兄ちゃんも一緒だったようで、鳴海へと視線を向ける。
クローリー
「いや、知らない方が正しいよ」
優一郎
「そうなのか?」
クローリー
「僕が色々知っているのはフェリドくんに聞いたからだし、フェリドくんはどこかで調べたはず」
私だけじゃなく、チェスとホーンも日本帝鬼軍については詳しくない。
つまりこんな風に色々知っている方が異常なのだ。
クローリー
「それにもし知ってたらフェリドくんを出し抜いてるからね」
笑いながらこちらを見るが、もちろん出し抜いている訳が無い。
首を降るとシノアが不思議そうな顔をしてこちらを見た。
シノア
「どういう事ですか?」
「吸血鬼になってからも動きを制限されて情報収集はできなかった」
優一郎
「!」
昔の私は殺されてもいいからフェリドを殺したいと思っていた。
その為に必要だったのは吸血鬼に関する様々な知識。
でも必要な情報を得る機会は訪れず事なく、月日が経つだけだった。
結局その機会が無かったのは、フェリドが仕組んでいたからだというのは後々分かった事だ。