第19章 蘇生
クローリー
「…いや、この話はやめよう」
ここにいる誰もがその怪我の原因が気になっている事には気づいているはずだ。
でもお兄ちゃんは一瞬考えてから語るのを辞めた。
つまりそれ程重要な事ではないか、まだ話すべきではないかのどちらかに違いない。
クローリー
「みんなもう食べ終わった?」
鳴海
「終わっている」
軍に所属しているからか、早く食べる事に慣れているのだろう。
気がつくと人間達はほとんど食事を終えていた。
優一郎
「いや、ミカがまだ…」
でもミカはまだ食事を取れていない。
全員の視線がミカに集まる。
ミカ
「僕は後でいい」
本当に血が足りているのか気にはなるが、本人がいいと言っているのだ。
優ちゃんも心配そうに見ているけれど後にしてもらう。
クローリー
「じゃ地下へ行こう」
全員が移動できる事を確認してから踵を返したお兄ちゃん。
理由を言わない為戸惑う人間達を置いて私も歩き始める。
クローリー
「アリスだけじゃなくて君達も行くよ」
シノア
「そこに何があるんですか?」
それでもついて来ない人間達へお兄ちゃんが声をかけると、シノアが至極真っ当な疑問を投げかけた。
クローリー
「僕も見てないから分かんないんだけど…。まあ先に説明しようか」
そう言うとお兄ちゃんはここにいる1人1人の顔を順番に見る。