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罪と罰【終わりのセラフ】

第19章 蘇生




ミカは肯定もしなければ否定もしない。


優一郎
「腹は減ってないのか?」

ミカ
「…いいや」


恐らくだがミカは今、吸血鬼の欲求と戦っているのだろう。
目の前に置かれた血を見て顔を強ばらせている。


ミカ
「でもこれを飲んだら僕はフェリドと…」


胸元を押さえて耐えているミカは、先程鳴海に血を見せられているから余計に辛いはずだ。
それでも葛藤しているのは、フェリドに血を提供し続けた日をトラウマとして記憶に残しているからかもしれない。

ここにある血は恐らく子供の血。
だから飲めないのだ。


優一郎
「じゃあ後で俺の血を飲めよ」

ミカ
「優ちゃん…」

優一郎
「そのためにいっぱい食っといたからさ」


それなら飲めるらしい。
強ばっていたミカが安心した様子を見せた。


ミカ
「…ごめん、飲みたい」

優一郎
「いいよ」


優ちゃんが優しい声で答えると、他の人間も安心した表情を浮かべている。
これでこの件は終了だ。

そう思ったのだが、優ちゃんは違ったらしい。


優一郎
「次はお前だ」

「?」


優ちゃんの言うお前とは私の事だ。
でも何の話かが分からずに首を傾げた。


優一郎
「だってアリスも吸血鬼だろ?血、飲みたくないのか?」


この質問は愚問と言ってもいいだろう。
吸血行為に抵抗があっても血を飲みたくない吸血鬼なんてそういない。
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