第19章 蘇生
これは明らかに異常だ。
まず日本帝鬼軍の彼らがこの屋敷にいる事もおかしい。
そして大変な事態になっているのは明白だが、彼らの危機感の無さにも違和感を感じる。
ここにいる以外の人間はどうしているのか。
なにより何故敵である吸血鬼の屋敷でこうも寛げるのか。
色々疑問に思うが、彼らに聞くのは憚られる。
聞くならお兄ちゃんから情報を得るのが適切だ。
でもその機会がなく、話す時間がなかった私だけが何も知らない。
いい加減何とかして詳しい状況を聞かなくてはならない。
お兄ちゃんはまだ戻ってこないのか。
それを確認しようと外から部屋の中へと視線を移す。
「…?」
部屋を見渡した私の目に止まったのは血を見つめながら俯くミカの姿。
調子が悪いのだろうか。
優一郎
「!」
心配で見つめていた私の視線を辿り、優ちゃんもミカの異変に気づいた。
優一郎
「ミカ」
ミカ
「………」
名前を呼ばれてゆっくりと顔を上げる。
その表情は少し苦しそうで、血を飲みたくない訳では無いのだとすぐに分かった。
優一郎
「飲まないのか?」
ミカ
「…うん」
優ちゃんの直球な質問にミカはゆっくり頷く。
でもミカには血が足りていないように見える。
「それは飲みたくない?」
ミカはこの用意された血を飲みたくないのだと確信したのでこんな聞き方をした。
ミカ
「………」