第19章 蘇生
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(アリスside)
「…疲れた」
浴室から戻ってきて1番の感想はこれだった。
リラックスする為に入浴する事はあったが、逆に疲れてしまったのは初めての事だ。
シノア
「さ、流石君月さん…!」
三葉
「悔しいが美味そうだな…」
テーブルに広げられたたくさんの料理。
それを見た彼女達は散々風呂場ではしゃいたのにも関わらず、今度は料理を見て歓声を上げている。
どこにそんな体力が残っているのだろうか。
クローリー
「アリス」
不思議に思っていると、お兄ちゃんが小さな声で私を呼んだ。
「ん?」
クローリー
「少し行ってくる」
「…了解」
どこへ行くのかは気になるし、一緒に行きたい。
でも何も聞かずに見送った。
お兄ちゃんは私が戻って来るのを待っていたのだ。
つまり私はここで彼らを見ている必要がある。
その間に人間達は席に着き、食べる準備をしていた。
ミカも血が入ったグラスが置いてある席に座っている。
優一郎
「アリスはどうする?」
「私の事は気にしないで」
私はお兄ちゃん以外の血をこれ以上飲むつもりは無い。
優ちゃんに答えた後、私は窓の傍の壁にもたれた。
「………」
バタバタしていて状況が分からない今、ようやく見れた外の様子。
一見いつも通りに見えるが、吸血鬼の気配を全く感じない。