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罪と罰【終わりのセラフ】

第19章 蘇生




飽きる事なく睨み続ける彼に溜め息をついた時、キッチンから肉が焼ける香りが漂ってきた。


クローリー
「…不思議だよな」

ミカ
「…?」


ポツリと漏らした言葉を拾ったミカは、こちらを訝しげな顔で見ている。


クローリー
「牛を焼くのは平気なのに何故同胞の血を飲むとなると、こうも嫌悪と背徳感があるのか…」

ミカ
「…っ」


それは別に血を飲みたがらないミカへの嫌味のつもりではなかった。
ただ過去に僕が思った事を何となく言ってみただけだ。


クローリー
「フェリドくんに無理矢理吸血鬼にされた時は僕もそうだったからね」

ミカ
「…!」


嫌味を言われたと思ったのか、少しだけムッとした様子に見えたミカに自分の事だと遠回しに伝える。
すると今まで無関心だった事が嘘の様に反応した。


クローリー
「興味がある顔、何が聞きたい?」

ミカ
「………」


唐突の質問に考え込むミカ。
僕は彼の考えが纏まるまで血を飲みながら待った。


ミカ
「…どれくらいの時間で僕は人間の感情を全て失う?」


少し時間が経った後に人間達に聞こえない様に小さな声で紡がれた質問。
この質問はかなり難しい。


ミカ
「君はいつ人間をやめた?」


なんと言うべきか答えかねていると、ミカは更に質問を重ねた。
普段の無表情は消え、不安げなミカ。

僕は初めて彼の人間らしさを見た気がした。
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