第19章 蘇生
*****
(クローリーside)
アリスが女達と浴場へ行った後、男達はすぐに調理に取り掛かる。
そんないつもとは違い騒がしい屋敷の中、僕はグラスに注いだ血を呷った。
ただいつもと違う事はまだある。
クローリー
「…あのさ」
それは僕の視界に入る位置でずっとこちらを見ているミカ。
まるで監視する様な視線にいい加減嫌気がさし、グラスを見せながら声をかけた。
クローリー
「そんなに睨まなくても飲みたいならあるよ」
ミカ
「…誰の血だ」
血に興味を示す辺り、どんなに嫌がろうがミカもちゃんと吸血鬼だ。
クローリー
「さあ?味的には子供の血だ」
念の為言った後に口に含み確認する。
あのフェリドくんの事だからほぼ100%子供の血で間違いないが、多分合っているだろう。
クローリー
「フェリドくんは僕と違って若い子の血が好きだから。まぁ君はよく知ってるだろ?」
ミカ
「………」
昔の彼はフェリドくんの屋敷に出入りし、血を飲ませていたお気に入りの1人だった。
それを態と言うと、ミカは嫌悪感を顕にしてこちらを睨みつけてくる。
聞いていた昔の彼と違って愛想がなく、可愛くない吸血鬼だ。
フェリドくんにされた事を思えば仕方ないとは思うが、これではこの世界は生きづらいだろう。
ミカ
「………」
クローリー
「…はぁ」