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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




ミカ
「僕は最近初めて人間の血を吸った。それから急速に人間性が減り始めたと思う」


ミカが最近まで人間の血を飲んでいなかった事には驚いたが、人間性については驚かなかった。
お兄ちゃんやフェリドが言っていた通りだからだ。


鳴海
「だからか…」

ミカ
「…?」


話を聞いて呟いた鳴海にミカが不思議そうな顔をする。
その反応を見て鳴海は与一を指さした。


鳴海
「家族の首を見て優は暴走しかけた。だが君は理性を保った」

「…首?」


家族の首とはどういう事なのか。
優ちゃんとミカの家族なら孤児院の子供達になる。


鳴海
「感情が減衰してるからか?」

ミカ
「…分からない。でも怒りは感じる」

鳴海
「どれくらい?」

ミカ
「………」


ミカはすぐに答えれなかった。
つまりそこまでの怒りではないのだろう。


鳴海
「…家族に対する執着は消え始めている」


与一の手元を見ながら呟いた鳴海。
そんな彼の視線を追い、私も与一の手元をよく見る。


「………」


手元にあるのは頭部でも入りそうなガラスケース。


与一
「!」


私の視線を感じたからか、与一はビクリと体を跳ねさせた。
その衝撃でガラスケースを落としそうになり、抱え直した事で中は見えなくなってしまう。

でも一瞬だけ見えたケースの中にはどこか見覚えのある髪色だった。
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