第18章 執着
君月
「ほら、もう傷が治る。俺達だってもう普通の人間じゃない」
鳴海
「だが同じ側だ。吸血鬼じゃない」
かなり険悪な雰囲気。
「………」
他の人間を確認すると、彼らも君月同様ミカが落ち着いたのを見て安心している様に見えた。
つまり鳴海以外は君月側という事になる。
何故鳴海だけここまで浮いているのだろう。
気にはなるが、部外者である私は口を挟めない。
君月
「………」
鳴海
「………」
睨み合うこの時間がとても長く感じた。
与一
「そんなのどっちだっていいよ」
この無駄な時間を止めたのは、全く口出ししそうにない人間。
与一
「人間だって人間を殺す。だから吸血鬼の仲間がいたっていい、そいつが家族を殺していないなら」
「………」
冷たい声に冷めた瞳。
そして人を殺す事とは無縁そうな彼から僅かに漏れた殺気に深い闇を感じた。
そんな彼の発言には人間達も驚いたらしく、固まっている。
鳴海
「…話を戻そう」
それでも少し間を開けてから話を戻した鳴海。
これを見て確信した。
彼は後からこのチームに入ったのではないか。
他の人間は与一を見つめて何も言わないのに彼は与一から目を離し、ミカを見ていた。
鳴海
「君の人間性はどれくらいだ?」
ミカ
「…君の言う通りだ」
絞り出すような声。