第18章 執着
これは後にでもちゃんと話を聞く必要がありそうだ。
鳴海
「では優とその吸血鬼についてはどうだ?それももうすぐ消えるのか?」
「………」
私への感情も消えてしまうのか。
ミカ
「それは…」
不安でいっぱいの気持ちで見つめると、安心させるようにミカが僅かに口角を上げて微笑んでくれた。
ミカ
「いや、2人への感情はあまり変わってない」
鳴海
「つまり生きている家族にだけ執着がある、という事か」
茜達への感情が薄れているのは本当に悲しい。
それでも私への感情が変わっていない事には安心した。
鳴海
「それ以外の感情は?」
ミカ
「………」
鳴海の質問に顔を強ばらせたミカ。
鳴海
「それ以外の感情はどうだ?」
それで何かを察したのだろう。
鳴海はもう1度質問を繰り返した。
ミカ
「…全部が怖いくらいに色褪せている」
鳴海
「なるほどな…」
俯いてしまったミカを見て、以前深夜の血を飲んだ事を思い出す。
まだあれだけしか飲んでいないが、これ以上飲むと本当に危ないかもしれない。
鳴海
「これはかなり重要な情報だ」
「…どうして?」
感情が失われていく事の何が重要なのか分からなかった。
素直に質問すると、彼は私を見る。
鳴海
「吸血鬼にも多少の人間味、人間時代から引き摺る執着があるという事だ」
「!」