第18章 執着
「分かった」
掴まれた手をそっと外して近くにある柱へともたれる。
血を飲んだとはいえ、少し体が辛い。
「ここで聞いてるから好きに話して」
シノア
「では鳴海さん、話を続けましょうか」
シノアに促され、鳴海は話を戻した。
鳴海
「今から言う事は帝鬼軍の資料に書かれていた事だが、吸血鬼は自ら増えるのを禁じている。100年以上増えていないというのは事実か?」
「………」
これはミカと私の存在を知っている時点で誤りだと分かっているはずだ。
だから答えるのはもう1つ。
「確かに勝手に増やすのは禁じられている。貴族を除いてだけど」
シノア
「貴族なら誰でも人間を吸血鬼に出来るという事ですか?」
「そう、ただ誰でもいい訳じゃない。貴族に運悪く気に入られるか、取り引きするかのどちらかだと思う」
現に私とお兄ちゃんはフェリドに気に入られてしまった。
それが気まぐれだったのか、それとも何か意味があっての事かは分からない。
「でも私とミカ以外の若い吸血鬼はいないと思うよ」
鳴海
「なら俺はその珍しい新人吸血鬼達に聞きたい事がある」
ミカ
「…!」
鳴海の言葉に黙って聞いていたミカが反応した。
鳴海
「お前は答えられないのなら何も言わなくて構わない」
わざわざ前置きをするのは私が答えにくい様な質問をするのだろう。
何を聞くつもりなのか。