第18章 執着
少し警戒しながら頷く。
鳴海
「フェリドを救う事、そして貴族と仲間になる事。それはどのくらい可能なんだ?」
「………」
前者は答えれるが、後者は私が答えられる事ではない。
だから私は何も言わない事を選んだ。
ミカ
「………」
同じく質問をされたミカも返事をしない。
鳴海
「…ミカエラ、君の事は信じよう。だからまず君に聞きたい」
これでは埒が明かないと思ったのか、言い終わると爪で手首を切り血を流した。
ミカ
「…!?」
彼の突然の行動にミカが驚きを隠せない中、鳴海はミカへ血を見せつける様に腕を突き出す。
鳴海
「君はいつまで信じられる?君の中の優はいつまで大切な家族だ?」
ミカ
「ぐっ…」
私は血の欲求が弱いからそれ程気にならないが、ミカは違った。
苦しそうに胸元を掴み、耐えている。
「………」
本音を聞き出すためだと分かるが、この苦しみを知っているからこそ鳴海の行動は許せなかった。
鳴海
「貴族であるフェリドやクローリーは多分1000年以上生きてるだろ。それでも…」
「貴族でも1000年以上生きてるとは限らない」
一応間違いがあったから指摘する。
まず私が1000年生きていないし、お兄ちゃんは800年程度だ。
鳴海
「では長年生きた吸血鬼としよう」
私の指摘に納得して頷いた後、ミカへ視線を戻す。