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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




目をつぶり、数秒手を合わせた。


「………」


目を開くと、そこにはもう何も残っていない。
私もいつかこんな風に終わるのだろう。


「ふぅ…」


吸血鬼について話し合う彼らは人間として死ねる。
それがとても羨ましかった。


鳴海
「私達エサは本能的に捕食者に恐怖を感じる。仲間になるなんて無理だと」

ミカ
「………」

鳴海
「エサと捕食者が共存出来るのか?猫とネズミ、ライオンとシマウマが仲良く暮らすって?」

与一
「そんな言い方…」


吸血鬼の前でここまで言えるとは凄い勇気だ。
他の人間もミカを気にして、止めようとしている。


ミカ
「嫌なのは分かってる、一緒にいてくれとは…」

鳴海
「そういう話じゃない」

ミカ
「…じゃあ何の話だ」

鳴海
「帝鬼軍の資料には…」


そこで言葉が途切れた。
彼の視線の先には私がいて、しっかり目が合う。


「何」

鳴海
「いや…」


言葉を濁しているが、何故黙ったのか分かった。
恐らく日本帝鬼軍の事を私の前で話していいのか考えているのだろう。


「私に聞かれたくないなら場所を変えれば?」

シノア
「そういう訳ではなくてですね…」


フォローを入れてくるシノアだが、別に私は怒っていないし気にしてもない。
仲間だと言っているのは優ちゃんだけで、私も人間達もお互いを仲間と思っている訳が無いのだ。
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