第18章 執着
君月
「よく考えてみろ、もしこいつらみたいに強さを偽っている吸血鬼が他にもいたらどうなる?」
優一郎
「どうって?」
私はいつになったら質問に答えられるのだろうか。
そう思ってしまうが、優ちゃんが理解していないのなら話しは進まない。
だから仕方なく待つ事にした。
シノア
「例えば五位だと思って挑む相手が、実は三位と同等の実力だとしたらどうなります?」
与一
「あ!それは困るね…」
優一郎
「………」
君月
「優、理解したか?」
もう1人理解していなかったらしい与一は理解した様だが、優ちゃんは何も言わない。
「あ」
そこで私は気づいた。
優ちゃんはシノアの言っている事を理解した上で疑問を抱いているのだ。
「優ちゃんの考えてる事、当ててあげようか」
シノア
「え?」
優ちゃんだけでなく、シノアや他の人間達の視線が私に集まる。
「相手の強さが想定と違ったとしても、結局倒すのだから考えても意味がない」
優一郎
「おっ、良くわかったな…!」
昔と性格が変わっていないのならこうだろうと思ったが、本当に当たっていたようだ。
できる事なら当たっていて欲しくなかったので思わず苦笑いを浮かべてしまう。
シノア
「あはは…もうなんと言うか…」
与一
「優くんらしいね…」
人間達も何とも言えない反応を見せている。