第18章 執着
「うん、そんな事思ってる人あのメンバーの中にいる訳ない」
顔を上げたミカの顔を見つめて力強く頷く。
その時に気づいた。
「その目…」
ミカの瞳はお兄ちゃん達と同じく赤い。
ミカ
「…うん、何年も我慢していたけどね。優ちゃんに飲まされたんだよ」
「ふふ、優ちゃんらしい」
相変わらず優ちゃんには弱いミカに笑ってしまう。
ミカ
「それよりアリスのその目はどうしたの?」
優一郎
「あ、それ俺も聞きたかったんだ」
「…っ」
誰にも簡単に話してはいけないとフェリドに言われている。
でも私にとって家族の様な存在の優ちゃん達にはどうなのか。
「………」
ここには優ちゃん達以外にも名古屋でお兄ちゃんの屋敷に乗り込んだ人間達がいる。
この人間達の前で最大の弱点となり得る不完全な吸血鬼だという事を教えていいのか。
それは悩む間もなく答えが出た。
「…言えない」
ミカ
「…どうして?」
「私の弱点だから」
優一郎
「?」
2人に嘘をつきたくないから正直に言えない理由を話したが、優ちゃんは不思議そうな顔をしている。
「優ちゃん…?」
優一郎
「弱点なら俺らも把握しておいた方がいいんじゃないのか?」
「………」
嫌な予感がして名前を呼ぶと、想定通りの事を言った優ちゃん。
ミカ
「はぁ…」