第18章 執着
間違いなく嫌われた。
その事実が突き刺さり、思わず後ずさる。
ミカ
「アリス…」
私が動いた事で我に返ったのか、小さく呟かれた私の名前。
その続きを聞くのが怖く、屋敷へ逃げようとまた後ろに一歩下がる。
ミカ
「逃げないで」
「…っ」
昔と違い少し低くなったミカの声。
その声で発された静止に体が石の様に動かなくなった。
「………」
ミカ
「良かった…」
逃げる事もミカの目を見る事もできずに視線を落としていると、優しく何かに包まれる。
「ミカ…」
顔を上げなくても分かる何かの正体はもちろんミカだ。
吸血鬼になったからもう昔の様な温もりは感じられないが、それでも落ち着けるこの腕に力を抜いて身を委ねる。
ミカ
「あの時…守れなくてごめんね」
「…ミカはちゃんと守ってくれたよ」
ミカ
「いや、僕のせいでアリスまで吸血鬼に…」
私の肩に顔を埋めているミカの顔は見えないが、それでも伝わってくる後悔。
ミカが今までこれをずっと気にして生きていたと思うと悲しくなってしまう。
優一郎
「ミカ」
ミカ
「…優ちゃん」
優一郎
「俺と同じでアリスも、茜達もお前のせいなんて思ってねぇよ」
いつの間にか近くに来ていた優ちゃんが優しくミカを諭した。
優ちゃんの言う通り私も同じ気持ちだ。
ミカ
「………」