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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




突き刺すとすぐに消えた1人の吸血鬼。
ちゃんと倒せた事に安心し、力が抜けて座り込む。


クローリー
「お疲れ様」

「…ん」


目の前にしゃがみ込み頭を撫でてくれるお兄ちゃん。
その感触に顔を上げると、お兄ちゃんは服の首元を開けていた。


クローリー
「ほら、飲んで」

「…痛かったらごめん」


吸い寄せられるように首元へ顔を寄せる。
部屋以外で飲む時は躊躇するのだが、血を欲している体に従い牙を立てた。


「は…んっ」

クローリー
「…っ」


体に血が染み渡る。
私の頭は血の事以外考えられなくなっていた。


クローリー
「傷の具合は…出血が酷いけど前あの子にやられたの以外はすぐ治るだろうね」


私が吸っている間に体の具合を確認される。
今回の怪我は鬼呪装備ではないので優ちゃんに刺された傷以外はすぐに治るらしい。


「はぁ…」


少しだけ多めに貰って満足し、口を離した。


クローリー
「調子は?」

「本調子じゃないけど結構いいよ」


先程の吸血鬼に投げられた事でついた傷は血を飲んだお陰もあり、もう痛まない。
先に立ち上がったお兄ちゃんに手を引かれて立つと、今まで忘れていた事に気がついてしまった。


「あ…」

優一郎・ミカ
「………」


私の視線の先にいるのは大切な2人。
そんな2人の前で私は吸血鬼を殺し、更には吸血行為までしてしまったのだ。
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