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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




サキラの首の近くには灰が溜まっている。
あれはフオラが消滅した証だ。


サキラ
「クローリーはともかくあんたは若い吸血鬼、何故こんなに動きが早いのよ…」


灰に気を取られていると聞こえた声はいつも通り高圧的だが、素直に不思議に思っている様に聞こえる。


「それは…」

クローリー
「アリス」

「………」


もう死んでしまうから教えようとした私を止めたのはお兄ちゃんだった。
短く名前を呼ばれて黙る。


クローリー
「敗者に教える事は無い」

サキラ
「…普段は人畜無害な顔してるけどそれが本性なのね」


たまに出るお兄ちゃんの冷酷な一面。
サキラには申し訳ないが、これでは教える事はできない。


「…では何も知らないまま死んでください」

クローリー
「自分で出来る?」

「うん、そろそろ出来るようにならないと」


私に話しかけてきたお兄ちゃんはいつも通りだった。
それに安心しながら頷く。

フオラを殺し、サキラの事も殺そうとするお兄ちゃん。
そして囚われていたクルル・ツェペシ。
この事から確実に吸血鬼の世界で何かが起きているのは明確だ。


「………」


好印象では無かったが、顔見知りを殺すのは良い気がしない。
でも何かが起きているのなら少しでも実力と経験を積む必要がある。
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